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リストマーク 普通の女の子 

2014年02月15日 ()
「クリスちゃん、どうしたの?」
 隣に座っていた鵜島さんの、鈴が転がるような声で、私はまた心がどこかに転げ落ちていたことに気が付いて、ゆっくりとそれを拾い上げると、軽く3、4回はたいて懐に収め、つとめて何事もなかったようににっこりと彼女に微笑んでみせた。
「あら、ごめんなさい~私時々、ぼうっとしてしまう癖があって。何かの病気かとも思ったのだけれど、お医者さまが言うには、少しばかり放心してしまっているだけらしいの」
「そうなんだ。よくわからないけど、病気とかじゃないんならよかった」
 鵜島さんは面倒見が良くて私を何くれとなく気づかってくれるだけでなく、私が自分の症状について話したくないのだということを今の言葉と口調だけで読み取ってくれる程度に頭脳の回転が早くて、しかも美人だ。外見的には中の上くらいに思われているようだけれど、多分無意識にやってのけている、人と会話する時のまっすぐで正々堂々とした視線とか、その双眸の下でやや低めだけれど形よくまとまっている鼻梁に散らされたそばかすとか、普段から身にまとっている自然体な無防備さとか、そういった部分を総合して美人だなと思わせるところが実に美人なのだ。私は彼女の、そういう美人さに誰かを思い出そうとするのだけれど、でも、その試みはいつだって失敗に終わる。その「誰か」は、私の記憶の中には存在していないからだ。なのに、私はいつだって、記憶の中にある「誰か」がそこにいたはずの空白というものを認識していて、折りに触れてその記憶に続く糸をたどろうとしてしまうのだ。
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「もうすぐ、バレンタインデーだね。私は少しだけ興味あるほうだけど、クリスちゃんはそういうの、気になるほう?」
 少しだけ意地悪そうな笑みを浮かべ、鵜島さんは私をちらりと一瞥して、それから視線を外した。こういうところが、実に上手いと感じてしまう。あの子とは正反対だ。
「気にならない、と言えば嘘になっちゃうかな~。だから、私も“少しだけ興味あるほう”に入るかもね~?」
 私は、頭をよぎる影を振りほどいて、現実で相対する少女に負けじとほほ笑んで見せた。うまくいっているといいのだけれど。彼女は、形の良い、すっと通った眉を思い切りハの字にして口を尖らせ、力抜けた体で前に倒れ込むしぐさをとる。全身で演技する術を知っているのだ、この娘は。
「もうー、そうやっていつもはぐらかすー。 じゃあさ、私がもう少し踏み込んで話したらクリスちゃんももう一声いけるとかない?」
「あら、踏み込めるほどに興味があったのね。そうしたらぜひ聞かせてもらわなきゃ。親友としては、何か一役買えるかもしれないわよ~?」 
「だめだめだめ! そうやって私だけに話させようっていうんでしょ! その手には乗りませんー、ちゃんとクリスちゃんの話も聞かせてもらうんだからね!」
 親友、という言葉を敢えて口にしてみせたのを華麗にスルーされたことを良い方に捉えて良いのか悪い方に捉えるべきなのかで少しばかり迷うことになった。もう少し考えて言葉を選ぶべきだったとやや後悔したものの、済んだことに拘っているのは良くないというのは間違いないだろう。先を見なくてはいけない。
「私の場合、あまり具体的なことは言えないし、ひょっとしたら笑われてしまうかもしれない類の事柄だから~」
 歯切れの悪いせりふだな、と我ながら情けなく感じつつもそう返すくらいにしか今の私には余裕というものがない。だから、どうしたって鵜島さんの器に対して素直に向き合えていないのだろう。
「笑ったりしないよ。笑うもんか。だってそれって私だけに話してくれることでしょ。きっとそう。クリスちゃん、誰にだって自分の事ほとんど話さないし、でも私にはそうやって、話そうとしてくれるんだから。そういう気持ちを笑ったりできるはずないよ」
 この人は天使か何かだろうか。何をどうやったらこんな生き物ができあがるのか。私はこれが神をいうものの所業だとするならば今すぐでも入信しかねない。恐ろしい。というか、もうどうしたらいいかわからない。だめだ。
 そこまで思考が進んだところで、意識がすっとんだ。

『バーカ、無理して分に合わないキャラ作ってんじゃねーよ。そんなに大した器持ってねーんだからできることだけやっときゃいいんだよ』
『あらあ? どの口がそんなことを言うの~? 私が居ないとビクビク後ろを振り返ってるくせに~」
『ビクビクなんてしてねーだろ! お前が居るときは正面に集中できる、居なきゃ後ろだってそりゃ気にしないわけにはいかねーだろうが』
『ふ~ん』
『何ニヤニヤしてんだよ! 良いからお前はお前らしくしとけよな!』

 目が覚めたら、そこは白い天井で、それは昔どこかで見た景色とよく似ていた気がした。それは錯覚だろうとわかるけれど、やっぱりそれでも似ていると思うのだ。それと、視界の隅には可憐な少女の心配そうな顔。
「ごめんなさい、私また」
「無理しないで、寝てていいよ。私こそごめん、何か、無理させちゃったんでしょ」
 そうじゃない鵜島さん、無理をしたのは私が自分の意志でしたことなのだから貴女が謝るのはよくないこと。そう言葉にしようとしたけれど、貧血のせいでけだるさと嘔吐感に苛まれて、呼吸すらも満足にできなくなってしまった。
「………鵜島さん、ありがとう」
 しばらくの間をおいて、やっとそれだけは口にできた。
「わかんないよクリスちゃん、私感謝されるようなこと何もしてない」
 声が震えているのがわかる。今は目をつむっているからその顔はわからないけれど、多分、あまり素敵な表情ではないだろう。見えなくてよかったのか、それとも私は罪から文字通りに目を背けているだけなのか。
「私ね、ずっと貴女と誰かを比べているの。非道い女なのよ」
 私は、相手の反応が見えないのをいいことに、事もあろうに懺悔を始めることにしたのだ。彼女の優しさに甘えて、救われようとしている。本当に、非道い女。
「私は、ここ何年かより前の記憶がないの。それはもう、綺麗さっぱりと、消しゴムをかけたノートよりも、絵の具をぶちまけたキャンバスよりも、嵐の後の青空よりも、驚くくらいに、何もないのよ」
 彼女は何も答えずに、黙っている。私に喋ることを赦してくれているのだ、と好意的……いや都合よく解釈して、私は続ける。
「でも、私の、そのまっさらなはずの、記憶の中に、確かに、消えた跡みたいなものはあるの。黒電話の脇にあるメモ帳の、上から7番目に裏写りした筆跡くらいの頼りなさで、読み取ることはとてもできないくらいの痕跡でしかないのだけれど、確かにそれはあって、私はその、ほんの少し残った僅かな傷を、そう、傷を確かめたくて、それを求めてしまうのよ」
 ひょっとしたら今にも席を立って出て行ってしまうかもしれないという恐れにちりちりと胸を焼かれても、もう、私は止まることができなかった。
「鵜島さん、私、貴女のこと、好きよ。そう言ってしまえるくらいには好き。その程度の、好き。あなたはとてもきれいで、凛々しくて、強い。いつだってまぶしいくらいに魅力に溢れてる。だから、私は、私には、あなたの強さと輝きは、辛いの。苦しいのよ」
 私は滔々としゃべり続けた。時折痰がが絡むこともあったし、せき込んだりもしたし、嘔吐感は止むことはなかったけれど、それでも口をつぐむことはしなかった。そして、鵜島さんは、その間、決して席を立つこともしなかったし、口をはさむこともしなかった。それを、私は優しさだと受け止めて、彼女に醜い自分をぶつけてゆくのだ。
「貴女と一緒にいて、貴女と話すとき、私はいつも、貴女の魅力を感じながら、同時に、もうひとりの、誰かを想っていたのよ。それが誰なのか、私にはわからない。わからないけれど、確かに私はその誰かを知っていて、こう思っていたのよ。“鵜島さんは、あのひととはちがう”」
 そこまで喋り終えて、私は一仕事終えた農夫のように、深く息をついて、そのあと、空を見上げようとして見えずに天井の一点を見つめ、そのあと眼をつむって、心残りなく死ぬときのイメージを思い浮かべながら、〆の言葉をつぶやいた。
「鵜島さん、もう一度言うわ。ありがとう。非道い女だったでしょう」
 傍らで、微かに動く気配があって、何の感情も読み取れない無機質な声が響いた。それは今までに聞いたことがないくらいに冷たいものだったけれど、でも、それがなんだかとても嬉しく感じられもした。
「そうね、本当に。あなたは最低だわ」
 この期に及んでなお、貴女は優しさを喪わないのね。私は、鵜島さんのその強さに改めて舌を巻いた。この人に巡り合えたのは僥倖だ、それでも私はそれを窓から放り投げるのだ。自分のちっぽけな狭量さを守るために。
「でも、初めてあなたの心に触れられたのよね。それはやっぱり、嬉しい」
「鵜島さん、そういうことを言うから、私は貴方を好きにならざるを得ないし、同時に、私は今、貴女との決別をはかっているのよ。言うまでもないことだろうとは思うけど」
 私はくどくどと言い訳を重ねて、責任とか、罪悪感から逃げ惑う。彼女の方がきっとつらいだろうに、私は自分のことばかりだ。
「私はそれでも、クリスちゃんの友達だからね。それだけは忘れないでね」
 鵜島さんはそう、きっぱりと言って、ついに席を立った。私は目を開けなかった。

『お前はホントにバカなんだな』
『~~ちゃんに合わせてあげてるのよ~? わからないの~?』
『合わせてやってんのはオレの方だっつーの! この後の演習でわからせてやっから待ってろ!』

 目を開けて、手を天井に向かって突き出す。掌を開いたり、閉じたりする。違和感。
 私は今、幸せだろうか。

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[2014.02.15(Sat) 22:20] 艦これTrackback(0) | Comments(7) 見る▼
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リストマーク 小波と太陽のこと 

2014年02月06日 ()
 その日はとても静かだったから、曙はそっと部屋を抜け出して海を見に行った。普段は工廠から立ち昇る黒煙と金属音、それから警笛サイレンの音が止むことがなく続いていて、海になど頼まれても行きたくはなかったのだけれど、その日だけはまるで時が止まったのかと大真面目に疑ってしまったくらいに鎮守時から喧噪が消えていて、それは現実とはとても思えない状況だった。曙はそのままベッドの中で考えるのをやめて二度寝を決め込もうかとも思ったが、迷った後に起きることにしたのだった。隣のベッドでまだ規則正しいリズムを奏でている漣の邪魔にならないよう、細心の注意を払いながら、軍靴を履きかけて、しかしすぐに思い直してベッドの奥にしまっておいたよそ行きの、淡い色合いの靴を引っぱり出して身に着けた。我知らずほころびかけた頬を、そうと気が付いて慌てて整えた。
 誰も見ていないのにどうしてそんなことをしてしまうのだろう、と鏡台に映る仏頂面を眺めたあと、かぶりを振って曙はそっと漣の傍らを通り抜けてドアを開けたのだった。
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 菊華寮の廊下もまた、しんと静まり返っていて、まるで知らない場所のように感じられた。肌に触れる空気自体がいつもとは違っている、いつもなら誰かしら自分よりも早く起きていて、廊下を流れる空気はそれに寄り添うようにして忙しなく行ったり来たりを繰り返していたし、寮長の吹雪と掃除委員長の白雪ーー白雪は誰に言われるともなく早朝から廊下の掃除を日課としていて、そのことを知っているのは早起きをして公務関連の仕事を始める吹雪と自主錬の走り込みに出る朧・陽炎・不知火、それから特に何をするでもないけれど朝になるとフラフラとしている曙くらいなのだが、演習や出撃ではまるで存在感を見せない白雪が早朝清掃をしているときはとてもいい顏をしていて、それを見た曙はつい、お掃除委員長と揶揄してしまって、それ以来白雪と上手く会話できなくなってしまっているーーが廊下に姿を見せているのがこの寮の日常だったはずだった。
 それでも曙は、そのことをそれほど気にしないで、外に向かった。そういう日があってはいけないかというと、いけなくはないからだ。何かが違うということは、何かいつもとは変わったことが起こるかもしれない。何か、素敵なことが起こるかもしれない。つとめてそう思い込もうとした。馴れないことはするものじゃない、ろくな事にならない。そういう意識はあったけれど、でもそれでは新しいことはうまれないし、いつもの日常から何も得られないのならこれからも何も得られないことに他ならないから、それなら新しい、何かが生まれて、それが自分にとって好ましいものであることを期待するくらいはしても良いだろうと思ったからだ。だいじょうぶ、今日は艤装を外していて体が軽いし、何よりお気に入りの靴は普段の硬質な安全靴のように乾いた音を立てることなく、白と臙脂で構成された正方形の敷き詰められたタイルとの間に気持ち良い摩擦音を響かせていて、心なしかいつもより歩調が速くなっているし、きっと今日は良い日になるに違いない。そういう気持ち、そういう考えこそが自分への祝福としてはたらくんだ。
 
 驚くほどに空は晴れ渡っていて、メガネ島ではとんとそんなものを見た記憶がなかった少女の心は躍った。空が広い、と感じられるのは、いつ以来だったろう。もうとうに思い出せなくなった昔のことのような気がする。昔、などと振り返ることができるほど彼女は生れ落ちてから時を経てはいなかったけれど、そのことを差し引いても、こんな青空を見たのは初めてではないか、というくらいに、曙の瞳はどこまでもつづく浅葱色の天蓋に魅せられるのと同時に、そこはかとない不安もまた感じている。霧深い島、いつもどんよりと薄暗く厚ぼったい雲に彩られたメガネ島の空は、こんな絵に描いたような姿を持っていたんだろうか。
 そこに、そよりと吹き渡る潮風が、髪飾りにあしらわれた輪花と、小さな鈴をちりんと揺らした。曙は呪縛から解けたようになって、視線を落とした。水平線までも見渡せるほどに海は凪いでいて、そこにはとても、自分たちと提督の心身を弱らせ傷めつける深海に繋がっているとは到底信じられないような穏やかな光がたたえられていた。
 曙は、誰かにそっと背中を押されたようにして海へつづくコンクリートの路を踏み出しやがて小走りになり、最後には突堤の先まで一気に走り抜けていった。やや荒くなった呼吸と心臓の鼓動が骨格を伝わって内耳に心地よいビートを届けてくれたので、曙の神経は知らず恍惚とした脳内麻薬成分を分泌させていて、それによって彼女の、ずっと心のそこでわだかまっていた何かコールタールのようにどろりとした黒い塊のことをわずかばかりでも忘れることを赦してくれた。

 打ち寄せる小波がフジツボと海苔に覆われたコンクリートと防波礫にぶつかって泡だっている。普段なら機械油と廃水で黒々とした粘っこい飛沫を飛ばして肌に張り付いてくる生臭い泡沫が、今は火照った体をほどよく冷ましてくれる冷却剤として心地よい感覚を与えてくる。曙は突堤に腰かけて、風にしばし当たった。
 これは夢だろうか、それとも、日常をひっくり返すような何かの前兆かと、片膝を抱くようにして曙はつらつらと思いを馳せた。
 
 不意に、同居人の顔が浮かび、曙は目が覚めるような驚愕にその胸を鷲掴みにされた。本当に脈絡がなく、そして突拍子のない想起であって、少女の表情は狐につままれたような、あるいは提督の思いつきで島風の腰に結わえつけられた凧が軽やかに疾駆する勢いにまかせて天に舞うかと思われた刹那に急降下して脳天にその天辺を突き立てられた龍驤のようなものとなってしまった。
 まだ、あの娘は眠りの領域に包まれているだろう。時間はきちっと守るし気遣いのできる子だ。自分のような、自分の感情すら思いのままにできない者であってもまるで昔からの友人のような振る舞いと受け答えをしてみせる頭の良さを持っている。だからこそそれに甘えてはいけない、という気持ちが生まれてしまって曙はどうしても、心を預けることができないでいる。艦隊編成に同時に加わることも多く銃火を共にする僚友としての信頼は築かれていても、同じように僚友として呼吸を合わせる者たちのように、寮に帰り同鍋の糧食を囲み胸の裡を吐露しあうような関係を持つところまで踏み出せないでいる。全ては自分の選んだことだ。そのことを後悔はしないししてはいけないのだ。
 
 先ほどまでの高揚感は露のように消え失せて、曙の心に重ぼったく澱が積もり出す。そんなものだ。どんな気晴らしだって、ほんのひと時だけそれが亡くなったように感じさせるだけのことで、荷物は放り出せないし消すことなんて叶わない。それどころ塵のように少しずつ降り積もっていって、気が付いたら山のごとくそびえて動かすことはおろか崩すことだってできやしなくなる。そういう事実を認めるという行為が山に土を盛ると知ってなおそれをやめることもできない。深海相手の砲火雷号踊る交戦は好きではないけれど、その最中だけは崩れない山に土を盛ることをしないで済む時間であるから必ずしも彼女にとっては悪い過ごし方というわけではないのだった。とはいえ、その戦闘がもたらす結果と影響が尋常でなく彼女以外の者には劣悪であることが少なくないために、それについては曙の憂いは増す一方だった。
 そんな具合で、らせんのように繰り返す堂々巡りは下方向にどこまでも潜っていって、それこそ自分は深海の生き物になってしまうのではないかというくらいにまで内うちにこもっていったその瞬間が、その到来だった。

 「さざなみが、立っていますなあ~」
 その声と独特の口調は忘れることができようはずがなく、曙の、濁って景色もぼんやりとしか把握できないくらいになった双眸は耳に響いた音の強さと三半規管に与えられた情報の僅かな時間差を正確に分析して発信源の位置を特定してみせた。今なら針の穴すら魚雷で通せるのではないかというくらいに、神経が一斉に活性化したのを感じたのだった。
 「漣が、立ってる」
 呆けたように呟いた長い髪の少女をまっすぐに見て、おどけたような顔を浮かべた同居人はすぐに口元をほころばせた。「そうじゃないんだなあ~もちろん、それも込みだから良いんだけども、っと」喋りながら曙の隣に座って、左右でまとめてゴムで束ねたやや軽い質の髪をゆらゆらとさせながら覗き込むようにして顏を近づけてくる。「わ、わかってるわよ!」つい先刻のことが蘇ってきて、曙は反射的に顔を背けてしまった。ああ、と胸の奥で嘆息する。
「静かだねえ」
 気にする風もなく、また脈絡を切るようにそう続けられたので、相手の心を害さなかったのなら良かったという思いが湧くのと同時に、無視されてしまったのだという感覚が裏から浮き上がってきた。そんな風に感じる自分というものの難儀さをつくづく感じながらも、これ以上相手に失策を取ってはならないという考えが曙の口を動かした。
「本当に、静かよね。こんなに静かなの、初めてかも」
 バカバカバカ、こんなどうでもいい返し。
「漣も、初めてかもしれない。曙が来るより少しだけの先輩だけど、ここまで静かで、それに、雲がないのは本当に珍しい」
 のってくれた。なんでのってくれるのよ。嬉しいじゃない。
「そうなんだ。なんなんだろうね」と続けながら、曙は視界が明るくなっていくのを感じた。
「皆目見当がつかないんだなぁ、そういうことを考えるのは吹雪と初春に任せようじゃないかね、曙くん?」大仰な身振りで悪戯っぽく笑うと、漣は、海の方を見つめながらつぶやくように、何かぼそぼそと言った。その言葉を聞き損ねて、曙はえっ、と漣の横顔を凝視して口元に神経を集中したのだけれど、やや曙のそれよりも色の濃い、健康的な厚さの柔らかな唇はもうその動きを終わっていた。
 何を言っていいのかわからなくなって、曙の心臓は一気に鼓動を倍にまで上げようとその働きを強めたので、たちまち曙のやや血行の良くない全身に血は廻ろうとして、結果、首筋から耳にかけての一部に急激に殺到した血流が、その白い肌を通して赤みを外に曝け出すことになった。それはつまり、血液の持つ熱量もまたそこに晒して、曙の頬やら耳やらに点在している温覚神経を刺激することでもあった。
 顔中に熱さを感じる。首から背中にかけて、その熱さという感覚に対するカウンターが働く。汗が滲み出す。それは、曙にとっては慣れ親しんだ感覚であり、同時に最も嫌な感覚の一つだった。そういう時の自分はみっともなくて、考えなしで、まったく心に余裕のない恥ずかしい姿をしているからだった。あまりにも情けなくて、曙は目を閉じて、ぐっとこらえようとしたのだけれど、あちこちに回った血流と熱は目元まで押し寄せてきていたから、曙の意志とは全く裏腹に、その熱と圧力は涙腺を強制的に開いてゆく。だめだ、こんな自分を見せたくないと、滲み溢れだそうとするものをふき取ろうとしたその手の甲を、突然ぐっと抑えられてしまって曙は戸惑いを隠せなかった。見開いた瞳の傍から堰を切ったように溢れ出る体液を流れるに任せたまま手元に向けた視線の先には、漣のややふっくらとした指先が、しかし痛みを感じないような繊細さで自分の手首を捕えているのが、おぼろげにみることができたのだった。その指からは、優しさを感じ取ることができたのだけれど、そのすぐ後に、それが優しさではなくて、不安と恐怖と、それを抑えようとする自制が引き起こしたものだと、そんなふうに感じられた。というのは、自らの手首に絡められた漣の指、その向こうにある漣の体から、微かに震えと、ともすればぐっと全身の力を以て握りしめそうな筋肉を制御せんとする葛藤が伝わってきたからだった。
 そのことに気づいたことで、曙の脳天まで上り詰めていた血流は落ち着きを取り戻し始めた。曙は、つい今まで姉のように自分を勇気づけようとしていた風だった漣の手がまるで母親を求めてすがりつく幼児のように錯覚して、知らずその掌を包むように、自らの掌を重ねた。
 びくり、と一瞬引っ込むような反応の後、その手はおずおずと、にぎり返してきた。
 曙は、なんだか心の中にあったあの黒々としてうず高く降り積もった塵芥の峰がずるずると溶けて崩れていくような、そんな気持ちになって、ただ無言でつないだ手の感覚に、心を委ねることにした。
 漣もまた、何も言わずに、海の方を見つめていた。

 突然、港から轟音が響いた。
 時間が動き出したように、あちこちで、喧騒が始まった。工廠から黒く粉っぽい煙が立ち上りだす。機械音に混じって霧笛のような蒸気音が空気を震わせた。
 気が付けば、空にはまた、雲が出てきていた。短い晴れの日は終わったのだ。海から寄せる湿った風と、軍港から上がる膨大な熱とが混じりあい、白く濁る。
 菊華寮へ続くコンクリートを、一人の少女が駆けてきた。「曙ー! 潮―!二人ともそんなとこにいてー!さんざん探したんだからねー! もうすぐご飯なんだから早く戻るのー!」凧を先輩にぶつける結果をもたらした快足の持ち主は、わざわざ二人のいる突堤の先まで迎えに走ってきたのだった。
「島風、ごくろうさまだったわね」そう、労いの言葉を口にした曙の顔を、ぎょっとしたように見て、それから頭に結んだリボンをちょろんと揺らして漣の顔を見つめた。漣はにかっと白い歯を見せて笑顔を浮かべた後、島風の背中を押した。「漣はお腹が減ったのです! いこっか島風!」「ちょ、ちょっとぉー!」「ようし競争だ! 勝った人がデザートのプリンを総取り!」「えーーー! ま、負けないんだからぁーーー!」
 曙はくす、と噴きだして、それを無意識に一瞬やめようとしたのに気づき、やめるのをやめて、それから、緩む頬を、そのまま緩むに任せた。これが今は精一杯だけれど、それが一歩目でいい。そう思って、駆けて行く二人を追いかけるように、駆けだした。

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[2014.02.06(Thu) 20:44] 艦これTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 霧島さんの話 

2014年01月30日 ()
頭に降ってくる電波を翻訳シテいくかんじのアレ。
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■霧島さんの気がかり。■


 メガネ鎮守府は今日もやや霧が濃い目にかかる朝を迎えている。こういう時は決まって霧島が鎮守府を初めて訪れた日を思い出すものだ。あの日は今日よりもさらに濃い霧が立ち込めていて、比較的小さな島の入り江を改造して造られた軍港に降り立った彼女はここはまるで自分の名前そのものですね、と小さく笑ったのがやけに印象深く感じられたのだった。

 霧島はこの鎮守府内では比較的新参であり、最古参の吹雪を筆頭に子日、朧、潮といった駆逐艦娘や龍田、天龍をはじめとする軽巡娘たち、それから次々と加わっていった重巡娘・軽空母娘などがひしめく中、4番目の戦艦娘として赤レンガの住人に加わった。
 彼女がこれまでの娘達と確実に違っていたのは、自ら提督の執務室に出向いて作戦立案書を提出し、積極的に艦隊運用と敵深海棲艦らの殲滅計画を進めようとしていた一点に尽きると言っていいだろう。彼女以前にも作戦立案に参加する者は存在してはいた。正規空母・赤城と翔鶴、重巡をまとめる利根と参謀を自称する鳥海。軽巡の指揮をとる長良。そして第一秘書たる駆逐艦吹雪。彼艦はいずれもそれぞれの冷静さやカリスマ性、堅実な判断力などによって艦娘たちの関係性を円滑に保ったり作戦遂行時の連携を適切にこなす能力には秀でていたが、論理的な思考力や戦略的計画性についてはその才能を練磨させてはいなかった。当然のことではあるが、実働部隊に過ぎない彼艦にそれらの能力は必要とされることはないしその権限も許されてはおらず、それらの権限と責任は凡そ提督ただ一人にゆだねられていたのである。そういった背景のある中で、霧島は唯一、赴任当日から執務室に乗り込んで、提督に委任されたすべてのうちの一部について自らが助けとなり、あるいはお目付け役ともなることを宣言してみせたのだった。ある者は差し出がましいと嘯き、ある者は物好きだと揶揄したものだが、日々の執務室往復が継続し、次第にその辣腕ぶりが赤レンガの隅々まで知れ渡るようになると、霧島へ向けられる視線は徐々に、しかし確実に好奇と忌避の眼差しから信頼と尊敬のそれになっていくことになった。それまで提督に集中していた責務が着実に圧縮され、提督の空いた時間が艦娘達へのケアに向けられることによって得られた収穫はそれこそ全ての者に恩恵として振る舞われたという事実が、この霧の濃い軍港島の淀みがちだった大気を変質させる結果を生んでいた。すべてが上手く運んで行くように思われたのだ。


 薄暗く立ち込めた雲が島と沿海を覆っている。執務室から臨む軍港とその先の海は空と同様の色合いを映していて、そんな時は仰々しい椅子と執務机に張り付きっぱなしのこの身が疎ましくなる。着任してどれほどになるか、提督としては限りなく素兎であり、取り立てて有能という評価もなく何故にこの島に赴任と相成ったのか、どれほど考えても思いつかない程度の見識しか持ち合わせていない。それでもこれまで何とかやってこれたのは限りなく幸運に恵まれ、かつ大本営からの支援が的確であったこと、そして艦娘達の奮闘の賜物に過ぎない。第一秘書吹雪の常識的かつ正確な現状把握力と助言によって日々の任務と資材管理、建造開発出撃遠征演習の手配と物資輸送計画を辛うじて回すのが関の山で、艦娘たちへの精神的ケアにまで手が回らないのが実状だった。それでも規模の小さな内は手の空く限り艦娘に声をかけてはいたのだが、赴任艦娘の拡充とそれにともなうドックの増設、担当海域の拡大を経てそれらは物理的にも時間的にも困難を極めた。有限であるのは資源ばかりではないのだ。どうにかしなくてはいけない、じりじりとした重圧が少しずつ新米から脱却しつつあるべき存在である提督の精神を蝕んでいて、それを察して吹雪は早くから秘書の数をひとりふたりと増やして各艦隊と鎮守府の運営を捌くようにと提案をしてくれた。著しい戦果を挙げ、持ち前の行動力と統率力で艦隊を引っ張っていく力を備えた長良、明るい気質で雰囲気を和ませながらも適宜業務をこなしていく漣、やや視野狭窄しがちで精神的に浮沈が激しいが型にはまると目覚ましい働きを見せる曙。小柄な外見と裏腹に豪快な指揮と器の広さで前線を支える利根。こういった面々は、大所帯となった艦隊の秩序あるいは関係性を維持する鎹として大いに働いてくれていた。それでも、微かではあるが確実な亀裂というものが、蟻の一穴から決壊を招く堤の如くに、暗く湿り気を帯びた大気とともに赤レンガの建物に広がっていくのを、今から思えば誰しもが感じていたのだ。

††
 赤城が大本営から派遣されてきたのは、まだ戦艦が扶桑と山城の姉妹が邂逅を果たしたばかりの時期で、その時には正規空母も蒼龍と翔鶴のふたりが代わる代わるに奮闘をしていて常に生傷の絶えることがないような状況だった。それを補うように軽空母の諸姉も必死で海域を駆けまわっていた。駆逐艦・軽巡の者たちは、新たな海域で出会う戦艦級・空母級の敵棲艦の強さにすっかり参っていて、命知らずの五十鈴や天龍までもが時折弱音めいた愚痴をこぼす程度に弱ることもあったほどだった。艦隊の主力の一翼を担っていた足柄は、戦いを得意としない末妹を前線に出すまいとし、あるいは自己の矜持と快楽衝動を満たす為に常に最前線に躍り出て敵と己の身を引き裂いて帰るのが日課だった。入渠した彼女は戦場に舞い戻ることだけを希求しあらゆるものに自身の回復を要求した。それは祈りではなく、ただ要求だった。そういった状況に放り込まれた赤城は、自分こそがこの惨状から脱し、鎮守府の栄光を挽回するべき使命を負ったものだと考えたのか、血気に逸って大破し生死の境をさまよった。慢心を律して不惑につとめようとするあまり、精神の天秤を逆方向に振り切ってしまっていた。しかしそういった事に気づくには、提督は赤城との接点をあまりにも持っていなかった。赤城の性急な蛮勇さを見誤って、当分の間鎮守府警護の任に宛てた。赤城は唯々諾々と従ったが、その姿を目の当たりにした翔鶴による抗議によってようやく提督は己の処置の軽率を知ることになった。
 そんなふうにして、どこか歯車が乱れたまま、疲弊する戦いは連綿と続いた。

‡‡
 海の底からやってきた脅威であるところの「深海棲艦」はまさに敵性勢力以外の何物でもなかった。突如として現れたその、深海生物のフォルムを持ちつつもヒトに生理的威圧感を与える醜悪な外見を持った“駆逐艦”の編隊を先鋒とした何かは、ただヒトが勢力を伸ばしてきた海域に出没するようになった。従来のヒトが所持していた艦船戦力では僅かに及ばず、善戦はできたものの撃退するまでには至らなかった。その存在が確実に知られてからは大兵力の逐次投入によって前線を守ってはいたが、じりじりと疲弊する兵力と、「規模が杳として知れず、不定期かつ意図不明な海棲艦の海域周遊」という事実が海軍の焦りと混乱を煽っていった。
 そうして少しずつヒト包囲網が構築され、ヒトの支配海域は少しずつ切り取られることとなった。霧の深い、本土から遠く離れたメガネ島鎮守府もまた、その切り取られた版図の一部に他ならなかった。海軍はやむなくメガネ島を放棄し、後方撤退を余儀なくされたのだった。
 そんな折に綺羅星の如く現れたのが、「艦娘」である。

 最初にヒトとの遭遇を果たした「艦娘」は、ヒトの手により艤装を与えられ、最初は演習の相手として実験的モルモットとしての立場を与えられた。しかして非人道的な扱いを受けることによって疲弊し一度は離別の危機を迎えたが、ある一人の技術者との精神的結束と物理的コミュニケーションによってかろうじて和解を遂げ、以降は「どこからか現れ、ヒトの許に引寄せられる」性質を見出された艦娘の卵とも呼ぶべき艤装マウントラッチを持った少女がたびたび訪れては海軍の保護下に置かれる、というサイクルが生まれた。驚くべきことに、艤装を装着された艦娘が増えていくにつれ、新たに訪れる艦娘はヒヨコと呼ぶべきか、艤装を装備した状態で現れ出したのだった。時の海軍はまさに金の卵を得た思いで艦娘関連に予算を注ぎ込む決定をし、その中で、このさびれて久しい前線基地港であるところのメガネ島奪回作戦が立案される経緯となった。
 実験的に投入された艦娘達は、当時の提督のカリスマ性と有能さに支えられて獅子奮迅の戦いぶりを見せ、多大な戦果を挙げた。いくつかの、奪われ放棄された軍港を奪回し曾て喪った版図を取り戻してみせた。その裏には“幾隻”もの
犠牲を伴ったものの、彼艦たちは確かに海軍における立ち位置というものを確立してしまったのだった。幸か不幸か、海軍において彼艦たちの力は必要不可欠なものとなりつつあった。と同時に、その事実を憂慮する者もまた一定数あるもので、次第に艦娘たちの居場所は本土から距離をおかれるようになる。
 状況ここに至り、メガネ島奪回の成功とともに、最も失われて構わない人材が提督として派遣されることになった。最前線の各鎮守府の中で最も重要度が低く、かつ本土との距離も離れた軍港であるこの島は、かつてはヒトの内紛を睨む形で建設されていたから海棲艦の周遊海域に対しての備えとしてはそれほど利便性も高くない。少なくとも、現状における重要軍施設とみなされていないのは、この島にかけられた予算を見ても確定的に明らかであって、それでも予算が出たのだから今の海軍のイケイケ具合は相当な勢いなのだ、と島の古参である工廠長は麦酒片手に新米提督を歓迎した。
 新米提督は相当の下戸だったから、それから三日間は工廠と併設された酒場には現れなかった。

‡‡‡
艦娘達の宿舎は菊華寮と呼ばれ、軍港・開発工廠入渠ドック群、鎮守府庁舎とともにほぼ正三角形の頂点という形で配置されている。
 菊華寮の建物はモダンな洋風を基調としていながらも、どこか野暮ったさを残した様式の3階建て鉄筋コンクリート建築である。この建物は完全な新築であり、元は倉庫群の一角だった場所を更地に戻し、新たに建造された。
 この寮が作られたのは、その要請として「艦娘」の存在というものがあることは明らかで、その不可解な概念は長らく崩壊したまま放置されていたこの軍港の再整備と稼働の原動力となるものだった。
 「彼女たち」は一見、そこいらにいる可憐な少女であったが、艤装を取り付けられることで軍艦として機能するという聊か、いや完全に人間の理解を超越した存在であった。ヒトとしての姿を持ったその何かわからないものはしかし、その立ち居振る舞いや男達に対する態度、言動、行動様式の全てにおいてヒトのそれと変わらないものであって、実際のところ普通の人間との区別をつけることがほぼ不可能である時点で「訳の分からない、高い戦闘力を秘めた生命体」という枠から「ちょっとだけ他の人とは違うだけの普通の女の子」という枠への概念遷移が起こるまでそう時間を必要としなかった。
 そんな経緯を以て培われた艦娘に対する意識が、この全寮制女子校の寄宿寮をそのまま踏襲したような、しかして今一つあか抜けない印象を拭い去れない建築物を顕現させるに至った所以である。

 鎮守府庁舎通称“赤レンガ”は、かつてはその通り名が示すようにレンガ造りの時代がかった建物であったのだが、現提督が着任する前に二度の深海棲力の蹂躙を赦してしまい一部を除いて破壊されてしまったために現在は当時の赤レンガは名残程度に現庁舎の片翼、向かって左側部分の港に突き出している会議・娯楽棟の一角にのみ見られる。それ以外はむき出しの打ちっ放しコンクリートの灰白色が建物全体の色調を決定づけている。それでも「赤レンガ」と呼ばれ続けているのには、従来からの慣例を容易に変えられないこの島の住人たちの不器用さと、ある者が戯れに「白コンクリ」と呼んだ時の語呂の悪さに対する拭いきれない違和感が寄与していると考えられた。
 鎮守府庁舎は菊華寮に先駆けて修復され、整備されていた。提督の赴任と同時にその秘書艦として就任した艦娘「吹雪」は、菊華寮がまだ完成していなかったために庁舎の一角である仮眠室に寝泊まりする流れとなった。一方の提督はといえば府庁舎の裏側に渡り廊下を介して併設された官邸で生活する。提督は官邸の一室を宛がおうと提案したが、にべもなく断られた。
 
 軍港は工廠・入渠ドックをそれぞれ二隻ぶん抱えていて、最初はこんなに広くても居心地が悪い、と吹雪が苦笑いする程度の規模を誇っていた。広さだけなら他の鎮守府に遅れは取らないぞと軍港管理人は胸をどんと叩き、その後で、提督にやっと聞こえるくらいの声量で「この港が一杯になるくらいの働きを頼む」とこぼした。提督は頑張ります、と答えるのが精一杯で、その言葉の意味をゆっくり反芻する余裕を持てるまでになるには、かなりの時間を必要としたものである。つまり、霧島によるメガネ島の改革が効果を顕わにするまでの時間を必要としたのだ。

††††
 提督は、ふうと一息ついて肩と首を回転させた。デスクワークは嫌いではないが、長時間机とにらめっこする時間が続くと体が悲鳴をあげるから定期的なストレッチと、軽い散歩が日課となった。
 最初の頃は吹雪も一緒になって庁舎の回りを歩いたり、軍港の隅々を視察と称して覗きまわったりという時間をとれた。実際そのお蔭で公務員の一人が庁舎の前に作った花壇や有志によって植えられた桜の苗木の成長を見守ることができたし、軍港勤務者たちとも馴染みになる機会に恵まれた。その誰もが、提督と小さな秘書艦に期待と、それからほんの少しの不安を顕わにしたので、提督と吹雪はともかく不安だけはなんとか取り除くのが当面の目標と設定して、眼下に広がる暗ぼったい海を見晴るかしたのだった。
 程なくして子日が鎮守府に加わった。これで戦力は弐倍だ、快挙だぞと喜んだのも束の間のこと、編隊を組んで海域戦に出るようになったことで未確認艦娘が発見される頻度が格段に高まっていった。それに伴い、本土から支給される支援物資がようやくある程度の余裕をもって運用可能になったために、工廠での「艦娘建造」も軌道に乗り始めたから、所属艦娘の数は今までの半分の時間で二倍三倍といったふうな勢いで拡大していった。それは大いに喜ばしいことではあったが、同時に複数の懸案も招くこととなった。仔細は割愛するが、そのいずれもが、提督及び鎮守府全体の負担を大幅に増加させる結果をもたらしたのである。そうなったことで、提督のストレッチと気晴らしの散歩はいきおい単身で行われることにもなったし、たびたびそのわずかばかりの息抜きの時間すらとれぬほどの激務が執務室に持ち込まれるようにもなった。提督の身体は決して丈夫な方ではなかったために、睡眠と休息を奪われることによる疲労の蓄積は覿面にその影を鎮守府全体に落とすこととなった。特に、それらのとばっちりを強く受けたのが前述の赤城であり、そしてまだ精神的に未熟さを残すがために何かとトラブルを引き起こしがちだった睦月型の駆逐艦娘達だった。
 そういった数々の重要な悲劇の糸というものが、少しずつ鎮守府の中で紡がれ、絡まり、縒り合わさっていくのは必然だったといえる。
 その縒り合わさった悲劇の紐は、その輪に何某かの獲物を捕らえくびり殺すかと思われたのだが、しかしてそれを阻み斬りおとしたのが誰あろう、霧島だった。

 霧島は、持ち前の聡明さとそれを使いこなす才を既に身に着けていた。自分よりも先輩に当たるすべての艦娘の顔と名、そして戦力と得手不得手を早々に把握し、艦隊編成ローテーション草案をいくつもまとめて提督に提出した。残念なことに、その正確さと論理的整合性が提督の理解の範疇を越えていたために、その草案はしばらく後まで氷漬けにされてしまった。しかし霧島はまったくめげることなく、次の提案をまとめ、再び執務室のドアをノックしてきたのだった。
 当時、提督は曙を第一艦隊旗艦として秘書長に据えていた。曙は艦娘の中でもとりわけ難しい気質を持った娘で、提督に対して反抗的な態度を取りがちな霞、満潮と並んで「編成に入れたくないツンケントリオ(青葉談)」の一角に置かれていたのだが、それでも霞と満潮が周囲の艦娘とそれなりの関係性を保つ中で、孤独に戦いを求める傾向が強く表れていくのを憂慮した提督が目の届くところに置いておくため、それと吹雪による進言――「あの娘は遠い向こう側の景色が見えすぎてしまっていて、人ひいては提督に心を開けないでいる」――の意を理解せんがためにその立場に置いたのだ。その処置は果たして功を奏したと言えなくはなかったが、それ以上にやや厄介な事態を引き起こした。提督が曙に対して、やや偏った感情を抱いてしまったのだ。それはいわゆる恋慕や寵愛といったものとはやや異なっていて、どちらかといえば提督の中に眠っていた隠れた性癖を呼び覚ました、というべきかも知れない。提督は主として父親につっつけどんな反応しか返せない難しい年頃の娘のそれに似た態度を彼女の行動に見出すのと同時に、「クソ提督」と呼んで憚らないその姿に自分を信頼しているが故に飾らず素直な言葉を投げかけてくれている、という解釈をもって臨んだのである。
 その結果、提督執務室に顕現した光景はというと、始終秘書艦の顔を見つめては頬を緩めるしだらない提督の呆け面と、それに辟易して罵詈雑言の限りを尽くす花飾りの少女、その罵倒を愛情表現と認めてさらにしたり顔でえびすの表情をあらわにする提督、心底から戦場の空気の中で12・7ミリ連装砲を撃ち散らしたいと願う駆逐艦という絵図であって、そこに偶々居合わせなくてはならなかった第二旗艦、軽巡五十鈴改は後にあれは末子の代まで語り継ぎたい出し物だったけれど、二度と見るのは遠慮したいものだわ、と語ったものだった。
 そういった提督と曙との「蜜月」の関係は霧島の英雄的行為によって終わりを告げた。提督の顔は次第に初期の張りを取り戻し、曙はほんの少しだけ、提督と、それから肩を並べる僚艦たちに対しての態度を和らげるようになった。霧島による、「第七駆逐艦隊」すなわち朧・潮・漣に曙を加えた四隻編隊の概念が提督に伝わり、その編成を元とした艦隊編成が組まれるようになったためだ。その概念は、吹雪の進言にある「遠い向こう側」からもたらされたものであって、提督を含む鎮守府の人々の知識にはない類のものだったが、しかし確実に曙の情動にとっては芳しい処方であることは火を見るより明らかだった。提督はそれから、艦娘たちの持つ「向こう側の景色」に対して真摯に向き合うべきだと考えを改めるようになったのだ。これにより、“一航戦”赤城に対する誤解と色眼鏡もまた、あるていど解消される運びとなった。赤城は積極的に艦隊編成に組み込まれるようになった。
 ただ、相変わらず赤城はともすれば前に踏み込み過ぎて手痛い反撃を食らうのをやめなかった。戦艦仲間としてたびたび行動を共にする蒼龍は「アレは地だと思いますよ」とあっけらかんと嘯いたし、同じく翔鶴は「赤城さんはまだ本領を発揮できないでいるだけなんです、加賀さんと肩を並べさえすれば一航戦は…!」と熱弁を振るったのだが、提督は未だ「加賀さん」という単語の示す対象の心当たりを見つけ出してはいなかった。艦娘達の中にははたびたび、そんなふうにして鎮守府には在籍していない誰かの名を口に出す者が多い。翔鶴はことあるごとに瑞鶴という妹を気遣うし、比叡はおねえさまおねえさまと誰かをほこらしげに呼ぶ。霧島も比叡の姉のはずなのだが、どうも比叡のいうおねえさまはただ年上の姉妹を指すのではなく特定の艦娘を示している節がある。千代田、利根といった者たちも姉妹・僚友の名をよく出していたが、幸運にも彼女らはその対となるべき半身に巡り合えたものたちだ。千代田は姉千歳と、利根は妹筑摩との「再会」を果たし、今は菊華寮で2人部屋を仲良く分け合っている。いつかは赤城も翔鶴もその片割れに出遭うのだろう。

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[2014.01.30(Thu) 23:15] 艦これTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 視聴アニメリンク集 

2012年04月14日 ()
月曜日
△ 秘密結社鷹の爪 NEO ニコ 4/9~ 0時更新 →視聴ページ
△咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A BC 4/16~ 12:00更新 →視聴ページ


火曜日
△ アクセル・ワールド BC 4/10~ 正午更新 →視聴ページ
○ 夏色キセキ SBS 4/10~ 25:55
アクエリオンEVOL ニコ 1/16深夜~ 24:30更新 →配信ページ

水曜日
○ Z-MAN ニコ 4/3~ 0:30更新 →視聴ページ
○ 這いよれ!ニャル子さん ニコ 4/11~ 1:30更新 →視聴ページ
△ 非公認戦隊アキバレンジャー BC 4/10~ 正午更新 →視聴ページ


木曜日
○ シャイニング・ハーツ ~幸せのパン~ ニコ 4/19 0:30更新 →視聴ページ
△ 緋色の欠片 ニコ 4/5~ 1:30更新 →視聴ページ
△エウレカセブンAO BC 4/18~ 12:00時更新→視聴ページ


金曜日
○ リコーダーとランドセル レ♪ ニコ 4/13~ 正午更新 →視聴ページ
△ プリティーリズム・ディアマイフューチャー ニコ 4/20~ 21時更新
                            →視聴ページ


土曜日
モーレツ宇宙海賊 ニコ 1/14~ 23:00更新 →配信ページ
○ヨルムンガンド BC 4/14~ 0時更新 →視聴ページ
△ 謎の彼女X ニコ 4/14~ 0時更新 →視聴ページ
× 君と僕。 ニコ 4/7~ 0時更新 →視聴ページ
○ ゆるめいつ3でぃ ニコ 4/7~ 1:10更新 →視聴ページ
△ LUPIN the Third ~峰不二子という女~ BC 4/7~
                    月曜正午更新←?意味不明 →視聴ページ
○ うぽって! ニコ生 4/7 23:30配信 ※生放送のみ

日曜日
△ Fate/Zero 2ndシーズン ニコ 4/15~ 1時更新 →視聴ページ
○ カードファイト! ヴァンガード アジアサーキット編 ニコ 4/8~ 11時更新
                            →視聴ページ
△ 黒子のバスケ BC 4/8~ 正午更新 →視聴ページ
△ しばいぬ子さん ニコ 4/1~ 22:27更新 →視聴ページ
[2012.04.14(Sat) 19:33] 雑記・アニメその他Trackback(0) | Comments(2) 見る▼
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リストマーク 2012年春期新番組アニメチェックリスト(配信めいん) 

2012年04月02日 ()
基本自分用。タイトル前の記号は現時点での「期待感」
( 期待←◎○△×→無関心 )
BC→バンダイチャンネル、ニコ→ニコニコチャンネル。

月曜日
△ 秘密結社鷹の爪 NEO ニコ 4/9~ 0時更新
‐ 這いよれ!ニャル子さん BC 4/16~ 正午更新


火曜日
△ アクセル・ワールド BC 4/10~ 正午更新
‐ アクセル・ワールド ニコ 4/10~ 23時更新
○ 夏色キセキ SBS 4/10~ 25:55

水曜日
○ Z-MAN ニコ 4/3~ 0:30更新
○ 這いよれ!ニャル子さん 4/11~ 1:30更新
△ 非公認戦隊アキバレンジャー BC 4/10~ 正午更新


木曜日
○ シャイニング・ハーツ ~幸せのパン~ 4/19 0:30更新
△ 緋色の欠片 ニコ 4/5~ 1:30更新
‐ 緋色の欠片 BC 4/5~ 正午更新



金曜日
○ リコーダーとランドセル レ♪ ニコ 4/13~ 正午更新
‐ 夏色キセキ BC 4/13~ 23時更新
‐ ゆるめいつ3でぃ BC 4/13~ 正午更新 【最新話無料】
‐ リコーダーとランドセル レ♪ BC 4/13~ 正午更新
△ プリティーリズム・ディアマイフューチャー ニコ 4/20~ 21時更新


土曜日
△ 謎の彼女X BC 4/14~ 0時更新
           (金23:30~ストリーム配信) 【最新話無料】
‐ 謎の彼女X ニコ 4/14~ 0時更新
× 君と僕。 ニコ 4/7~ 0時更新
○ ゆるめいつ3でぃ ニコ 4/7~ 1:10更新
△ LUPIN the Third ~峰不二子という女~ BC 4/7~
                    月曜正午更新←?意味不明
○ うぽって! ニコ生 4/7 23:30配信 ※生放送のみ

日曜日
△ Fate/Zero 2ndシーズン 4/15~ 1時更新
○ カードファイト! ヴァンガード アジアサーキット編 ニコ 4/8~ 11時更新
△ 黒子のバスケ BC 4/8~ 正午更新
△ しばいぬ子さん ニコ 4/1~ 22:27更新
[2012.04.02(Mon) 19:18] 新番組Trackback(1) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク アニメ視聴用スケジュールリンク 

2012年01月20日 ()
自分用。<凡例> BC→バンダイチャンネル ニコ→ニコニコチャンネル

◆日曜日
あの夏で待ってる BC 1/15~ 正午更新  →配信ページ
×ポヨポヨ観察日記 ニコ 1/8~ 13:00更新 →配信ページ
妖狐×僕SS ニコ 1/22~ 21:30更新 →配信ページ
◎輪廻のラグランジェ BC(見放題会員限定)  22:00更新 →配信ページ
カードファイト!!ヴァンガード ニコ →配信ページ
未来日記 ニコ 23:00生~ →配信ページ
探偵オペラ ミルキィホームズ 第2幕 ニコ 1/08~ 26:30後進 →配信ページ


◆月曜日
アクエリオンEVOL ニコ 1/16深夜~ 24:30更新 →配信ページ
パパの言うことを聞きなさい! BC 1/16~ 12:00更新 →配信ページ

◆火曜日
戦姫絶唱シンフォギア ニコ 1/10~ 22:30更新 →配信ページ
男子高校生の日常 BC 1/10深夜~ 24:00更新 →配信ページ


◆水曜日
BRAVE10 BC 1/10~ 12:00更新 →配信ページ
輪廻のラグランジェ BC 1/11~ 22:00更新 →配信ページ

◆木曜日
リコーダーとランドセル ド♪ ニコ 1/6~ 25:00更新 →配信ページ

◆金曜日
×ゼロの使い魔F BC 2/3~ 正午更新  →配信ページ
×夏目友人帳 肆 BC 1/6~ 正午更新 →配信ページ 
×ハイスクールD×D BC 1/27~ 正午更新  →配信ページ

◆土曜日
モーレツ宇宙海賊 ニコ 1/14~ 23:00更新 →配信ページ
×偽物語 BC 1/14深夜~ 24:00更新 →配信ページ
[2012.01.20(Fri) 21:54] 雑記・アニメその他Trackback(1) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク あの夏で待ってる 第1話「困ります、先輩。」 

2012年01月15日 ()
あの夏で待ってる 
監督:長井龍雪 脚本:黒田洋介 美術監督:川本亜夕 アニメーション制作:J.C.STAFF

なんというか、やられました。脳天をまさぐられた心持ちになる掴み。実に理想的。
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 なんていうか、映像制作青春グラフィティ群像劇には基本的に弱いんですよね自分。ゼーガペインとかね。あとハルヒの第一話とか。あれ意外と出てこないな。まあいいや。efなんかも主人公がもすこし映像制作方面にかかわってたら全部見てたのに的なアレがアレ。

 全体として、背景の存在感が圧倒的でありました。これは聖地巡礼したくなるわ。誰か泊めてください。いえナノマシンとかないですけどええ。

 じゃなくて。全画面表示して視たくなった。すげえキレイ。これBD欲しくなるなーって。あとね、色彩。J.C.STAFFだからなのかなんなのかわかりませんけど、あさっての方向。で感じたときと同じときめきというか、これをノスタルジイとか言うのは癪なんですけど、まあたぶん比較的伝わりやすいニュアンスとしてそんな風な感覚に呻いてしまいました。夏が醸し出す空気はやっぱりいいですね。冬を描かせるなら京都アニメーションですけど夏はね。うん。夏はJ.C.STAFFさんかな。ゼーガペインの夏はあんまり感覚的にズッキュンとされるアレではなかったので。あれはあれでよいものなのですけれど。
 
 さて。キャラクター。デザイン見たときに主人公とかうわあって思ってしまったんですけど、なかなかどうして観始めてみるとこれっぽちもダメじゃないですね。すごい。ちょっと浅沼さんはいってる信長くん演ずるところのあまん…ああ海人くんか。うんいいね。黒田お得意の妄想癖キャラなのはまあご愛嬌。それよりも、脇を固める子たちがすごいですね。まあこのあたりは後程個別に。

 宇宙規模の異文化コミュニケーション譚としての側面をやや強めに持ってる感じの今作。おねがいティーチャーのみずほ先生はそれなりに「地球」とのコンタクトをそつなくこなしていたわけですけど、いちかさんの場合は完全に「潜入工作員初心者」としてのそれ。しかもかなりアウチなレベル。でもそれが良い。

 主人公を出会い頭の事故で死なせてしまった(?)のを細胞レベルから再構成っていうのはSFの典型ガジェットでもあるし黒田的にはかしましでもやった安定の手法。経過を見守るという名目で監視員を主人公のそばに置いておけるし、いざというときのイベントフックにもなって一石二鳥。いや三鳥くらいはありますかね。今回の場合。主人公に何らかの「未来への不可能性」を付与できる。いつ死ぬともわからないという、本来なら高校二年生なんていう年頃ののほほんとした若者からもっとも対極的な意識を、そこに持ってこれる。いやそれが本作にかかわってくるかどうかは知らないですけど、少なくとも彼には何かしらの「時限装置」が仕掛けられている節はあるのでそこがどうなっていくかっていうのが自分は気になっちゃいます。そういう意識がもたらす「映像への影響」とか、そういう部分。彼らが作ろうとしている映画は完成するのかな? 完成したとして、それは公開されるんだろうか。されなくても別にかまわないけれど、もし公開されるのならば、観たくもあり。不安もあり。

 さてキャラクターについて。
★霧島海人
 彼は、ふつうだ。実に、ふつう。今のところその過去も何も明かされていないので何ともアレなんですけど、さしあたってまあ、両親なしというとこと、ごはんを食べるときに体育座り状態というとこから見てお前らだってことはわかったOK

★石垣哲朗
 何このイケメン。しかも空気読める。完璧超人しね。いや、いい親友ですね。どこで拾ったんですか海人くん。っていうか、逆なのか。哲朗くんなんて海人くんに構うの。ホモなの。それともいいやつだし俺様の引き立て役としてちょうどいい上に妹的立場の幼馴染みの思い人だからですか。むう。彼の暗黒面が見たいです。凌辱されないかなあ。それか女教師につい本気になるけど二股かけられて的なアレ。ないか。黒田だし。

★谷川柑菜
 今のところただのツンデレ。明らかに当て馬枠なんだけども、いろいろ活躍はしてくれそうなので期待。あと石原夏織。すごい石原夏織。
 
★北原美桜
 えーと みさくら ? だいたい合ってそう。お色気担当だけど脱がない方向かな。比較敵どうでもいい。ストーリー的にはにぎやかし以外の何物でもなさそう(あと、便利なブッキング情報担当)。

★山野葡萄
 ちがう。林檎? ああ檸檬だった。柑橘系。柑菜と被ってるじゃないかクソ。ぶっちゃけ森野苺なんだろうけど、個人的に森野苺の記憶があまりないのでよくわからない。みんな踊らされてればいいよ。

★貴月イチカ
 宇宙人って明言はされてないっけこの人? とりあえずメンタリティ的には完璧に地球人と同じみたいだ。かしましのマッド宇宙人(あれ宇宙人だっけか…?)とは段違いに可愛い。インベルくらいかわいい。今のところ、主人公に他意は全くないようなのでどうなるか期待。最後まで「恋愛感情」が生まれることなく、肉体的反応及び表層的反射反応だけで主人公と恋愛ドラマを繰り広げたりしてしまったりすると切なくてよろしいけど黒田だし、まあないな。
 戸松さんの演技が何かおかしい気がする。

 
 ともあれ、期待のできる良い第一話でした。今期は丁寧な第一話がいっぱいあってうれしい。

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[2012.01.15(Sun) 20:19] 新番組Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク 2012年冬アニメ新番組チェックリスト 

2012年01月10日 ()
自分用。ほぼネット視聴なので動画環境があるアニメ僻地ストにもお役に立てるかも?
<凡例> BC→バンダイチャンネル ニコ→ニコニコチャンネル
※いくつか間違いを訂正しました(青字)。 
もうできてるものは配信ページも追加(一部)。

◆日曜日
あの夏で待ってる BC 1/15~ 正午更新  →配信ページ
×妖狐×僕SS ニコ 1/22~ 21:30更新 →配信ページ
探偵オペラ ミルキィホームズ 第2幕 ニコ 1/08~ 26:30後進
  →配信ページ
×ポヨポヨ観察日記 ニコ 1/8~ 13:00更新 →配信ページ

◆月曜日
アクエリオンEVOL ニコ 1/16深夜~ 24:30更新 
 ※初回は24:00より1・2話合体SP →配信ページ
△アクエリオンEVOL BC 1/30~ 12:00更新
×パパの言うことを聞きなさい! BC 1/16~ 12:00更新 →配信ページ
×パパの言うことを聞きなさい! ニコ 1/16深夜~ 26:00更新

◆火曜日
戦姫絶唱シンフォギア ニコ 1/10~ 22:30更新 →配信ページ
男子高校生の日常 BC 1/10深夜~ 24:00更新 →配信ページ
△男子高校生の日常 ニコ 1/10深夜~ 24:00更新 ※生放送のみ


◆水曜日
×BRAVE10 BC 1/10~ 12:00更新 →配信ページ
×BRAVE10 ニコ 1/10~ 23:00更新 
◎輪廻のラグランジェ BC 1/11~ 22:00更新 →配信ページ
◎輪廻のラグランジェ ニコ 1/11深夜~ 24:00更新 ※生放送のみ

◆木曜日
×リコーダーとランドセル ド♪ ニコ 1/6~ 25:00更新 →配信ページ

◆金曜日
×ゼロの使い魔F BC 2/3~ 正午更新  →配信ページ
×夏目友人帳 肆 BC 1/6~ 正午更新 
×ハイスクールD×D BC 1/27~ 正午更新  →配信ページ
ハイスクールD×D BC 1/27~ 15:00更新 ※2話以降有料
×ポヨポヨ観察日記 BC 1/13~ 正午更新 ※5分アニメ
×リコーダーとランドセル ド♪ BC 1/13 正午更新


◆土曜日
モーレツ宇宙海賊 ニコ 1/14~ 23:00更新 →配信ページ
○モーレツ宇宙海賊 BC 1/14深夜~ 24:00更新
偽物語 BC 1/14深夜~ 24:00更新 →配信ページ
×偽物語 ニコ 1/14深夜~ 26:00更新 →配信ページ
[2012.01.10(Tue) 08:58] 雑記・アニメその他Trackback(1) | Comments(2) 見る▼
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COMMENT

ぎゃ! by かれん
むむむむむにゅお姉さまが更新されてるー!!!ヽ(´▽`)/

こんばんは(ぺこり)
ご無沙汰しておりますm(_ _)m

嬉しくてTB送らせて頂きました(*^―^*)
本年もよろしくお願い致します☆彡

>かれんさん by むにゅ
かれんさんほんとにごぶさたしておりますあけましておめでとー!
なんとか今年は復帰してほそぼそと更新していきたいと思っていますよかったらよしなにです!

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リストマーク 川上とも子さんへ ありがとうございました 

2011年06月10日 ()
 信じがたい情報でしたが、確定のようです。
 実をいうとそんなファンとかそういうわけではなかったのですけど、すごく今なにかきてます。
 何を言っても空回りしそうなので、感謝の意のみを記します。ありがとうございました。

弊社所属俳優、川上とも子儀 平成23年6月9日(木)16時45分、かねてより病気療養中のところ、誠に残念ながら薬石効なく急逝いたしました。

生前中は皆様に多大な応援を頂き心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。



(株)ぷろだくしょんバオバブ

代表取締役 神田百合恵 スタッフ一同


http://baobab.dreamlog.jp/archives/4981754.html
[2011.06.10(Fri) 17:19] 雑記・アニメその他Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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リストマーク キスダムってますか 

2011年06月10日 ()
裏返りのみなさんめざめましたか。裏返ってないみなさんもごきげんよう。第5の妖精ことヴァムーニュです。

本日正午からR-ENGAGE planet- Blu-ray BOX予約者の入金期間が開始されました。クレカ払いの方以外はお早めに入金して生産確定を待ちましょう。そう、まだ生産は「確定」ではありません。みなさんの働き次第で成果が生まれるのです。あなたの力が必要なのです!

あと。
6月20日より、キスダムR-ENGAGE planet- Blu-ray BOXの二次予約が始まりますよ。

予約忘れた(´Д`;)という人はもうこれがラストチャンス。買わず後悔するよりは買って後悔。プレミアつくから。絶対つくから大丈夫!投機マネーを投入だ!

お金ないもん(´ρ`)とか言わずにまずは予約だ。8月20日の正午までは入金モラトリアム。夏のボーナスが出るかもしれない。出なくても6月7月のお給金を2万ずつプールしよう。ノエインBDの購入を9月以降に延期して予算を回すのも手です。あ、いやその入手難易度的にほら。ね。この機を逃すとキスダムのソフト化は絶望的なのです。ノエインBDはいつだって買えます。たぶん。
え、エルガイムにバイファム?それだっていつでも…いやそっちはその…いいから四の五の言わずに黙ってキスダム!

いやもうほんとによろしくお願いします切実なんです入金2000いかないとほんとにポシャる可能性があるんです。そういうアニメだったんです当時から! 

キスダムR-ENGAGE planet- Blu-ray BOX化プロジェクト 画像クリックで公式サイトが開きます(映像・音声注意)
キスダムR-ENGAGE planet- Blu-ray BOX化プロジェクト 画像クリックで公式サイトが開きます(映像・音声注意)
[2011.06.10(Fri) 16:44] 雑記・アニメその他Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
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